ファンレター



ところが、私の知らない所で十はそれなりに活躍してた。



「えーっ!羽田さん知らなかったの?清涼飲料水のCMにずっと前から出てるじゃん。中心人物じゃないけど、それなりに目立ってるよねぇ」


「そうだよ。そんなんじゃ、ファンとしてやっていけないよ?」


「あ…、そうなんだ」



別にそこまで熱心なファンのつもりもないんですけど。



でも、知らなかった。

十がCMに?

さっそくチェックする私。

この時から、そのCMに出てくる清涼飲料水は、私の定番の飲み物となった。



「でもさぁ、一緒にCM出てるタレントかわいいよね。濱田サキだっけ」


「ちょっと十くんに近付き過ぎだと思わない?」


「そうそう!勝手に触るなって感じだよね」


「ははは…、そうだね」



ファンとは、実はかなり恐ろしい存在だと思った。

いつからお前のものになったと言ってやりたいくらい、発言に驚かされる。

加えてうちの学校の十ファンは、しばらく一緒に高校生活を送っていたというだけで、何か一般のファンとは格が違うと言いたげだった。




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