ファンレター
由起子は、芸能界から姿を消した。
桜の下に立つ度に
男は由起子を想う。
信じてやれなかった
自分を責めながら。
時間をかけて戻った芸能界では、昔のように仕事は入らなかった。
今では無名に近い二流の女優となった由起子は、復帰して数年後に、偶然にも自分と近い想いを背負った少女に出会う。
この子がどうか、幸せになれますように。
由起子は心から願い、涙を流す少女にハンカチを差し出した。
かつて互いを信じ合った男に対する、深い想いを重ねながら。