ファンレター
疲れきったサラリーマン達の列に並んで、制服姿で列車を待つ。
ホームの柱に寄り掛かった酔いつぶれ気味の中年は、誰にも相手にされないのが不服なのか、(多分私に)大声を浴びせてきた。
「おい、姉ちゃん。こっち向いて顔見せろ。こんな時間に一人でどこ行くんだぁ?俺といいとこ行こうやぁ~。べっぴんかぁ?それともブスかぁ?」
他の人達の視線まで私に注がれる。
無視して反対線のホームに目をやると、しゃがんで寄り添うカップルの姿。
どこに行くのかな。
二人なら、心細くなんてないよね。
私はどうして、ここに一人で立ってるんだろう。
しかもこんな時間に…。