ファンレター
鉄塔が横切るスピードが落ちなくても、月はずっと窓の外についてくる。
思わず吹き出してしまった。
本当に、十みたい。
もう、ついて来てくれるような距離にはいないけど、今度は私が追い掛ける。
十の近くに、いられるように。
やがて、かすかに見えて来た東京の光。
最終列車を待つ駅は、都会の風格を放ちながら私達を待ち構えてた。
絶対負けない。
こんな街に負けてたまるか。
気がつけば顔の前には、二つの握り拳が出来上がってた。