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決戦の木曜日
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決戦の木曜日
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やっぱり夜でも活動的な街。
歩いている人の数が全然違う。
「どうする?泊まる所探さないと」
大きなかばんを下げた多美とジャージ姿の私は、どう見ても家出して来た田舎娘のようで見る耐えなかった。
いや、そのままか。
家出のつもりはないけど、どう見ても田舎娘だもん。
それにしても、路地裏に屋台が並ぶ光景には、ちょっとドラマっぽくてワクワクする。
なんて、そんな余裕ぶってるわけにもいかないんだけど。
この先どうしようか。
時間も遅いし、方向さえよくわからない場所。
補導員に捕まるわけにもいかないし…。
とはいえ、実は私の中には、密かに期待してる人がいた。
「ねぇ多美、FUTURE SPACE行ってみる?」
面倒見がいいと聞いてる大北さんなら、もしかして助けてくれるかも。
…なんて、ちょっと調子良過ぎだろうか。
でも、他に頼る場所なんてない。
私の事をちゃんと覚えてくれてるかも自信が持てないけど、夜の野外はやっぱり冷える。
十に合う前に、倒れるわけにはいかないんだ。
「よし!やっぱり行こう!」
「…なんか、強くなったわね、涼」