ファンレター
こうしてるだけで、ホッとできることは確かだった。
十のおかげで、素敵な人たちと出会えたことに幸せを感じる。
桂さんや大北さんのような人が十の近くにいてくれて、本当によかった。
「ちょっとちょっと!あのカメラマンて、あんなに素敵だったっけ?ねぇ、夜のせいかな?マジで恋しちゃいそうなんだけど。どうしよう」
桂さんがトイレに立った後の部屋で、多美は一人恋によがってる。
やっぱり多美って、こういう感じだよね。
「ねぇ涼、桂さんて彼女いるの?」
「えっ、知らないってそんなこと。まだ知り合ったばかりだよ?」
「聞いてみてよ。ね、おねがい!」
多美が私の腕に抱きつく。
いくらなんでも、そこまで立ち入った話なんてできるわけない。
「ムリムリ!」
私は首と手の平を同時に勢いよく振った。
せっかくの桂さんとの関係が、くだらない質問で崩れるのは困る!