ファンレター
力が抜けて、制服のスカートが浮かび上がるのと同時に、私は地面にひざまずいた。
「ほら、彼女の写真を撮っておいてください。地元から追い掛けてきた一般人の話じゃ、たいした記事にならないかもしれないが、見出しが十ならそれなりの数は取れるだろう。ついでに、サキの存在も書き加えておいてくださいよ。よその事務所の子だが、十を売り出す為に何かと力を借りている」
勝ち誇るように眉毛を上げ、尾根さんはその場を去ろうとした。
十は何も言わない。
濱田サキも、十の隣に立ったまま、尾根さんの背中を眺めてた。
やっぱり、無理なのかな。
ここでは、泣きたくなかった。
負けてるみたいで…。
いろんなことに、負けたみたいで。
濱田サキの前っていうのも嫌だったし、こんなこと…、なんかすっごく格好悪いし。