ファンレター
「あ~ぁ、なんかよくいるんだよねぇ。ちょっと学校が一緒だったからって、私が一番十の事を知ってるとか思っちゃう人が」
「ホント、やだやだ…」
え、なに…?
気がつくと私達の後ろには、他校の制服を着た女の子たちが立ってた。
どうやら私達を敵視してるみたいだ。
「しかもさぁ、そのほとんどが、十と話した事すらなかったりするんだよね~、アハハ」
やけに嫌味に言ってくるし。
なんなの、この子達。
「はぁ?私達はそれなりに十くんと仲良かったわよ?ねぇ、涼」
「えっ?へ…あ、まぁ」
こういう時は、早くこの場から去ったほうがいいに決まってるのに。
多美、余計な事は言わないでよ!
「それはー、あんたたちが勝手に思ってるだけで、十はあんたらの名前すら覚えてないんじゃないのぉ?」
「言えてるー、ハハハハ」
いや、さすがに名前は忘れられていないはずだけど。
私はただオロオロと話を聞いているだけになってた。
すると
「それはないわよ。だって私、十くんに抱き締められた事だってあるんだから」
「えっ……!?」
多美の言葉に、他校の女子が一斉に声を失った。
もちろん、私も。
「それ……本当なの?」