ファンレター



「涼ちゃんの理想になるのが、オレの目標だ。それだけは変えられない。映画やることでどんな成長ができるかなんて、まだわからないけど、オレの中ではそれが、涼ちゃんへの通過点だから。
だから、もう少し待ってて。すっごく男らしくてカッコ良くなってから、涼ちゃんの隣に立ちたいんだ」



そんなふうに考える十が、もうすごくカッコ良くて。

背筋が伸びた背中も。

真剣な眼差しも。



私は十に夢中だった。



月が眩しい。

こんなに街が明るいのに、感じる側が変われば見えるものも変わるんだ。



大好きだよ。

私やっぱり十のファンだ。



軽い意味じゃない。

憧れられる存在は、その人の中でとても大きいって。

それが今わかったから。



近くにいるとか、遠くにいるとかじゃなくて。

十がいるということに意味がある。

ここに十がいるから、私はまた、十を想えるんだ。



一人の想いは、二人の力になる。

じゃあ二人が想えば…




「十、大好き」





< 212 / 218 >

この作品をシェア

pagetop