ファンレター
会えない間は、やっぱりさみしい。
雪が降るクリスマスを、私は十の雑誌を見て過ごした。
その頃、たしかおじさんの店に、キレイな従業員がひとり増えたんだ。
桜の下で手を繋いで、とても仲が良さそうに散歩する姿を、よく見かける。
賑わう大通りの正月は、多美と二人で過ごした。
願いを書いた絵馬を抱えて、派手やかな髪飾りを落としそうになりながら、笑ってはしゃいで。
カップル寄り添うバレンタインデーには、大きなハートのチョコレートを作った。
郵送された時に崩れないようしっかり箱に敷き詰めて、また読んでもらえるか分からないファンレターを同封する。
春休みには、多美とFUTURE SPACEに遊びに行った。
大北さんと働くことになった、桂さんに会うために。
そして四月。
テレビでは十の映画の予告が流れるようになった。
駅の隣の家電ショップ。
テレビの前で立ち止まるのが、私の日課。
明日からは
高校生活最後の一年が始まる。