ファンレター
「私が知ってる十くんの情報は全部教えるから、涼も新しい情報が入ったら絶対教えて!涼は十くんと地区が同じだから、十くんが里帰りした時とか、私ではわからない情報が入って来たりするはずでしょ?」
強く握られる手。
でも、そんな約束できるはずがない。
言えないことは沢山あるのだ。
以前のように、十とはそんなに親しくないフリをしよう、そう思った。
でも
私は多美の勢いに押されてた。
「うん…絶対教えるよ」
多美の意味深な笑顔が返ってくる。
「約束ね!」
どうか何の情報も入って来ませんように。
この時はそう願うだけだった。