ファンレター
やがて十の出るドラマが始まるまでに、私は10通のファンレターを書いた。
10通は全て同じ内容。
人気が上がってきた十に来るたくさんのファンレターの中で、少しでも読んでもらえる確率を上げるためにと、多美が考えた作戦だった。
ファンて、結構大変なんだな。
『鷹宮 十サマ
涼です。十、頑張ってる?
私の方は夏休みの補習とかあって、毎日がなんとなく慌ただしいよ。もう2年生だからね。十も学校だけじゃなくて、きっといろんなことでいつも忙しいんだろうな。
CMや雑誌はちゃんと見てるよ。元気に頑張ってるんだなぁって感心してる。
でも、やっぱりなんだか十が遠い気がして淋しいよ。一緒に学校に通ってた頃が本当に懐かしい。なんでもっといろんな話をしたり、一緒にいろんな経験をしたりできなかったのかなって…。そんなこと言ったって仕方ないんだけど。
なんかいろいろ悔やんでる。一緒にいた時間が、すごく貴重な時間だったってことに、今さら気付かされた。
だけどね、私はちゃんと十のこと、ファンとして応援するから。ドラマのことおばさんから聞いた。すごいね。今からすごく楽しみにしてる。録画もするよ!
これかも頑張って。
ずっとずっと、ファンでいるから。
羽田 涼』