ファンレター
修学旅行へ
***
修学旅行へ
***
「別れ桜?」
乗る機会の少ない新幹線も、走り出して30分もすればいつもの教室と同じ。
席を移動してゲームをする子がいれば、こっそりお菓子を食べ始めるグループもあったり。
それぞれが、どこか開放的な気分に浸りつつあった。
「勝手な行動は禁止だぞー。わかってるな、別行動になってからも問題起こすのだけはやめてくれよ」
念を押すように山口がくり返す言葉にも、空しいものが感じられる。
いったい何人の生徒が真剣に聞いてただろう。
彼はどうやら、今回の旅行の全てを任されたらしい。
まとめられたファイルを、何度も開いて確認してた。
「そんなの関係ないんじゃない?昔の人ってそういう名前つけたがるから。あ…もしかして、私が涼と和兄の待ち合わせ場所を桜の木に決めたから二人は……ってこと?」
「そ、それは違うけど……」
「あはは、わかってるって。でも本当にどうでもいいことだよ、そんなの」