ファンレター
軽く笑ってアメ玉を口に入れる。
多美のあっさりとした答えに、安心できるような、物足りないような。
私の胸には、何となくもどかしさが残った。
「それより涼、ちゃんとあの服持ってきたんでしょうね」
多美が顔を近付けて、まるで脅迫するかのように詰め寄る。
あの服をバッグに入れる自分が、やっぱりおかしく思えて仕方なかった。
同じ東京にいるとはいっても、会える確率なんてほとんどない。
でもそれを承知しながら、それでも会えるんじゃないかって、どこかで期待してて……
まぁ結局は
「うん、持ってきた」
ということなんだけど。