ファンレター
「あー、布施原さんを知ってる者はたくさんいると思うが、実は我が校の出身者であったということは、誰も知らんだろう」
教師たちの間から、また意味のわからない拍手が沸いた。
「僕らの時代の人間には、たまらないですよね、轟先生!」
山口を含めた体ばかりでかい教師達が、そう言って笑みを漏らす。
話を聞けば、昔はトレンディドラマの主役をはっていたこともあるらしい。
ふ~ん…
いまいち興味なさ気な生徒達の様子は、ちょっと申し訳ない気もした。
私の肩にも重みがのしかかる。
なんだ、十じゃないのか…。
「はじめまして、布施原由起子です。自分の後輩達に会えるなんて、こちらこそ光栄なことですわ。スタッフに話はしてありますので、ゆっくり中を見学して行ってくださいね」
ほう、放送局の見学。
豪勢なおまけがついたものだ。
みんなは明らかに、そっちの方に興味津々だった。