憎しみを超えて
プロローグ
「…いやぁぁぁぁぁっ!!
お願いだからやめて…」
静まり返った真っ暗な闇の中に、一人の少女の泣き叫ぶような声とそれに続く嗚咽だけが聞こえる。
しかしそこには誰も来ない。
普段から人通りの少ないこの路地裏は、夜だけあって通りかかる人などめったにいないのだろう。
それでも少女は一縷の希望に賭けて、わめき続けた。
暗闇の中でも分かるくらい真っ白な肌に、今にも零れ落ちそうな大きい目。
身長は高い方ではないが、それでも手足は長く抜群なスタイル。
真っ黒でダメージ知らずの艶やかな髪…。
絵に描いたような美少女が、そこにはいた。