スイッチ
絶望という名の感情は、とっくの昔になくしてしまった。

今はもう、何も感じない。

何も思わない。

あの話を教えてくれた医者のように。

あの話を聞いたのはかなり昔で

当時の私には何のことだかわからなかった。

でも今ならわかる。

希望を持つことは無駄なことで、

笑顔などは誰も幸福なんかにしてくれない。

どんなに手を伸ばしても、

振り向いてくれない背中もある。

今ならわかる。

わかったと同時に、私は『スイッチ』を切った

感情という『スイッチ』を―――・・・


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