やまねこたち
あたし達は、“やまねこ”と呼ばれている。
あたし達の誰かがあたし達をそう名付けたわけでもなく、勝手にその名前がついていたんだ。
そういえば、こんな話を聞いた。
夜、少し木々が生い茂った、人が少ない道に行ってはいけない。
やまねこがいるかもしれない。
やまねこに会ったら、酒とチーズを差し出せ。
もしかしたら、機嫌をよくして助けてくれるかもしれない。
やまねこに会うなんて、なんて運がいいんだ。
だけど、そこから生きて帰ればの話だ。
あたしは思わず笑ってしまった。
「どうしたの?」
「…ううん、なんでもない」
…間違ってない。
あたし達は、自由だ。