やまねこたち
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いつもは偉そうで傲慢で、女の上に乗ることしかできないクソ性欲マシーンがあたしの舌に翻弄されている。
柄にもなく苦しそうで、熱い息を吐いた。
仰け反って、麻月の広い肩に力なく頭を預けている。
「やだ、豹かーわいい」
「艶子も思いの外才能あるよね」
「そう??麻月、バトンタッチ」
麻月は笑った。
掴んでいた豹の手首を離すと、大人しくなった豹はぐったりとベッドに倒れ込んだ。
麻月は豹を引っくり返す。
「艶子、あれとって」
「これ??」
「それそれ」
棚の上に乗っていたボトルを麻月に手渡す。
中身が見えない。
「…おい、麻月それ…」
びくりと豹が反応した。
あたしはベッドから降りる。
「見てなよ。裏市場で手に入れたんだ。これ、すごくてさぁ」
ボトルの蓋を取って、手のひらにそれを出す麻月。
そのどろどろとした液体を見て、あたしは瞬時にそれが何なのかを理解した。
以前一度だけ使われたことがあった。
「ま、つき!!!がちでやめ、」
豹が逃げようとしたけど、麻月が阻む。
液体を豹にかけて、自分の指にもつける。
「艶子、こっちに来なさい」
自分の名前を呼ばれて、一瞬どきりとした。
「そこに座って」
指示された、ベッドの真下に座る。
「艶子、見てなよ」
「は、…あ?!なんであたしが、」
あたしは逃げようとした。
これから見ちゃいけないことが始まるのは勘で分かる。
部屋から出ようとすると、麻月の手が伸びてきて、顎を掴まれた。
ぬるりとした液体の感触が分かった。
「逃げたら、艶子も同じ目に遭うから」
にっこりと笑ったまま、麻月は豹の逃げようとする腰を掴んだ。
「や、やだ麻月、やめようよ…」
「艶子は優しいね」
豹のうめき声が聞こえた。
筋肉質の腕が、ベッドを引っ掻く。
「ぅ、あ、あ」
豹の震えた声が部屋に響く。
「そう、上手。素質あるんじゃない、豹」
麻月の左手がゆっくり動いているのが分かる。
まさか、その長い指が。
そう思った瞬間、あたしは何か異変を感じた。
「あ、なにこれ」
麻月が濡れた手で触った顎が、むず痒いような、痺れるような、熱くなるような感触になる。
「び、やく…」
「正解」
「は、あ?!てめ、ふざけん、っ…」
豹が蹲る。
嫌だ、今すぐこの場から離れたい。
見ちゃいけないことが始まってしまう。
そんな世界の扉は開かなくていいよ、麻月。
「もっと力抜きなよ、ほら豹、どこかの女の子にもいつも言ってるだろう??」
豹がびくりと反応した。
よくみると、豹の体に鳥肌が立っていた。
「初めは違和感感じるかもしれないけど、大丈夫。その内慣れるから」
「あっ、」
麻月が空いている右手であたしの顎を掴み寄せる。
「やだ!!!なにすんのよ、麻月」
「よく見なよ、明後日は艶子だ」
あたしは言葉を失った。
「あたし、違う穴あるんだけど」
「新しい事に挑戦するのはいいことだよ」
震えそうになった。
豹がこんなんなのに、明後日はあたしがこんな状況になるのか。
「豹、慣れた??」
「…慣れるか、ドアホ」
ベッドを引っ掻く豹。
麻月は気にせずに、液体を豹に垂らした。
「あああ!!!それやめろ!!!気持ち悪ぃ」
「でもこれないと、豹痛いけど??」
「薬使ってんだ、ろ」
麻月は笑顔で、立ち上がった。
髪を掴まれる。
2人しか見えない。
「麻、月やめたげて…」
あたしの声を無視して、滑りが良くなった器官に毒が入る。
聞いたことがない、豹の声が絶え間なく聞こえた。これは悲鳴。
執拗に、何度も。
「…ゃ、や、麻、月、やめっ、!!」
豹はベッドに拳をぶつけた。
麻月が髪を掴んでいるせいで、顔を逸らせない。
「豹、いい声」
「―――ッ、あ」
声を出さまいと唇を噛み締めている隙間から、豹の悲鳴が洩れる。
だけど、豹の表情が変わってきたのをあたしは見逃さなかった。
最初は苦痛に顔を歪めていたのに、今は泣きそうな顔だ。
「ほら豹、だんだん変わってきたでしょう??」
「…う、るせぇ!!!」
豹は吠えた。
「…楽しいこと考えた」
麻月は顔を上げる。
いい予感はしなかった。
「きゃ…?!」
「やっぱり、カレン呼んどいた方が良かったかな、まぁ、艶子なら大丈夫だよね」
笑顔のまま、あたしの髪を掴みあげて、ベッドに乗せた。
「カレンなら喜んでやりそうだけど」
あたしは力任せにベッドに倒された。
「はっ、お前まじでいかれてるぜ、麻月」
「ありがとう。豹、分かってる??」
「やっ?!」
豹の手が、あたしの下半身に纏っているもの全てを引き摺り下ろした。
豹は高々と笑って、あたしの頭の横に手をついた。
「艶子、もっかい付き合えや」
いつの間にか麻月があたしの無抵抗な足を掴んでいた。
「い、やああ」
「これは豹、楽しめるんじゃない??」
「…はっ」
豹は短く息を吐いた。
ゆっくりと、そいつは近付く。
液体にまみれた豹は、ずるりと何の引っ掛かりもなくあたしに流れ込んできた。
熱い。
「…や、豹、」
「うっ、あ!!!麻、月」
そして豹が悲鳴を洩らす。
状況が分かってしまった。
「くそっ!!!豹、麻月!!!あたしを何だと思って、んだ」
「今は、何も考えないでおこうよ」
上から麻月の腕が伸びてくる。
右手の指が、口に入り込んできた。
「…親父に聞かれたらまずい」
「あ、ふ…ひ」
麻月の名前すら言えない。
「お、これ可愛いじゃねぇの。もっと喋ろよ艶子」
麻月の指があたしの口内を物色する。
「ぅ、えっ」
いきなり、喉の奥に指が入ってきた。
吐きそうになる。
「…あぁ、可愛い」
「ぉえっ、う、ぇ…っやめ、」
何度も指を突っ込んでくる。
涙が止めどなく溢れてきた。
「…麻月、これは可哀想だろ」
「そう??とか言って、結構締まるでしょ??」
豹が黙った。
下半身から、妙な感触が広がってくる。まさか、薬。
豹のものを中心に、じんわりと熱くなってきた。
「ぅぅぅあ、ゃああ」
麻月が動き出した。
豹があたしの頭の横に、顔を埋める。
「ぁー、麻月…」
麻月が声をあげて笑っている。
究極の変態だ。
「もう、いいだろ…!!その薬、まじで、気持ち悪ぃ」
「出そうなの??」
あたしははっとした。
この感触は危険な。
「や、!!!うえあお!!!」
「…艶子、なんて??」
「…抜いてほしいんじゃない」
豹を殴る。だけど彼は下半身が動かないようだった。
喋れないから、麻月に目で訴える。
麻月があたしの口を解放した。
「抜けアホ!!!あんたの子供なんて孕みたくないわ!!!」
ぐいと豹の胸を押しても、びくともしない。
「や、や!!!麻月、はやくどいてよ」
「今の顔、最高」
麻月は笑うばかりだ。
「…艶子、動くなって」
「いやだいやだ!!!麻月、豹どかしてよ!!!」
「どうしようかな」
「麻月!!!明後日寝るから!!!」
とにかく今は、焦りしかない。
下半身が動かない豹の種は今にも飛び出そうだ。
そうなると、麻月が豹をどかしてくれない限り。
「言質とったからね」
「う、ああ」
豹は麻月に抱き上げられた。
それと一緒に中の異物はずるりと消えた。
「いいよ、出しても」
豹は麻月にぐったりと凭れ掛かっている。
「こ、わかった…」
「妊娠と対峙するのが??」
「あたしまだ17だからな」
麻月を睨む。
豹はまだ解放されないみたいだ。
「いいよ、さっき我慢してた分、吐き出せば??」
「や、麻月、やめろ」
麻月が豹を触る。
あたしはそれを見ないふりして、ベッドに倒れた。
下半身がまだ熱い。
今日は何て1日なんだろう。
「ぅ、あ」
「あぁ、良かったね」
麻月はけらけら笑っている。
男は一発出すのに相当体力いるってこの前本人言ってたけど、今日の豹の消耗っぷりをみると納得できる。
「みて艶子、豹立てなくなってる」
いつの間にか終わったのか、豹は力尽きた顔で麻月に凭れている。
「…豹、感想は??」
豹は息を吐いた。
「…2度と麻月とやりたくねぇ」
「あれ、残念だな」
麻月は豹を抱き上げた。
「艶子も一緒にシャワーいく??」
あたしは下半身をみた。
「…そうだな」
ベッドから降りて、あたしたちは浴槽に向かった。
今日はとんだ1日だ。