《続》手にしたあとは?
次の日サークルで飲もうって話があったから夕方大学に顔を出した。
華乃に電話をかけようとした瞬間…一番会いたくなかったヤツの顔が、正面から視界に入った。
『てっチャン』だ。
コイツは俺が華乃を傷付けた後、ずっと華乃の一番側に居たヤツ。
コイツのおかげで俺は去年のクリスマスにもう少しで華乃を失う所だった。
あっちだって俺なんかに会いたくないだろうな〜。
要も要注意だけどてっチャンも…
なんて考えてたらてっチャンが話かけてきた。
「どーも、その節は。」
なんか後ろめたい…
「久しぶりだな。元気か?」
「俺は元気ですよ。…坂下と上手くやってます?悲しませたら本気で殴ります。」
てっチャンは拳を自分の頬に当ててみせた。
「ははっ。いろいろ大変だけど、絶対幸せにするよ。お前の分まで。」
「…俺は坂下がアンタを本気で好きなの知ってる。でもアンタが昔坂下にしてきた事も知ってる。俺が口出す事ぢゃないけど…」
てっチャンはいきなり真剣な顔をした。
「…なんだよ?」
「昨日、坂下があんたのサークルの後輩かな?黒髪で…アンタに後ろ姿が似てるヤツに迫られてんの見ましたよ。坂下は断ったけど『諦めない』ってね。」