《続》手にしたあとは?
要…やっぱり本気か。
「そうか。俺も気が抜けないな…。」
俺が心配すると思って、華乃は"何もない"って言ったんだと思った。
「本当ですよっ。ちゃんと捕まえておいてくれないと!アイツ華乃のホッペにキスして去って行ったんすよ?俺だってしなかったのに…。」
ん!?なんだソレ!
「ふぅ…。要のもやってくれるな。」
華乃を離したくなくて、実は焦ってるなんて気付かれたくなかった。不安がって隙を見せたくなかった。特にてっチャンには…。俺はなんとか平静を装った。
のに、
「アンタって、普段クールなのに坂下の事になると余裕なくなるんですね。」
てっチャンがニヤッと笑った。
バレてる。
「はは。…本当は不安でしょうがないよ。いつ誰に華乃を取られるかって…必死なんだ。」
アンタなんて呼ぶクセに敬語を使ったり、ライバルだったクセに俺らの仲を心配したり、てっチャンはお人好しだな。つい本音が出た。
「俺、アンタの事嫌いじゃないです。だからくれぐれも坂下の事離さないでくださいね?」
てっチャンは茶色い瞳で真っ直ぐ俺を見つめた。
そして男の俺が照れるくらいの笑顔を見せて去って行った。