《続》手にしたあとは?
◇6◇
バイトが終わると、大樹から連絡が来ていた。
迎えに来てくれみたいで、嬉しかった。
なのに、もう30分以上経った今もまだ大樹は来ない。
何してるんだろ〜…まだかな〜。
私はしばらくの間、バイト先の勝手口でぼっ〜っとしていた。
…トンッ―
「わッ…!」
店の裏から、道路ばかりを見てた私は後ろの人影に気付かなくて、急に肩を叩かれて驚いた。
「ビックリしたぁ…!店長か。」
後ろに居たのはバイトの店長だった。
「あ、ごめんね!驚かせる気はなかったんだよ。」
「いえいえ、私がぼーっとしてたのが悪いんですよっ…。」
するとパッと店内の明かりが消えた。もう閉店時間?
「坂下さんは何してるの?結構前に上がったでしょ?彼氏待ってるのかな。」
店長は笑うと目尻に少しシワが出来る。それに男の人にしては優しい口調なんだ。
「え〜っと…、迎えに来るはずがなかなか来なくて。」
「来るとき何かあったんじゃない?連絡してみなよ。」
「あ!そっかぁ、携帯!」
今時は本当に便利なものがあるよね。私は携帯のリダイアルで大樹の番号を出して発信した。
プルルルルッ―プルルルルッ―
何度コールを鳴らしても大樹は出ない。
大樹…?
なんだか不安が襲ってきた。