《続》手にしたあとは?
「坂下さん…?」
心配そうに店長が私の顔を覗き込んだ。
「あ…っと、出ないみたいです。メールしてもう帰りますね。」
大樹の家のぞいてみよ。もしかしたらタカチャンと飲んでて抜けれないのかも。
"お疲れ様です"って言おうとしたけど店長の言葉に遮られた。
「車で送ってくよ。女の子一人は危ないからね。」
店長は優しさなんだろうけど、大樹がきっとヤキモチ妬くから一人で帰ろうと思ったんだ。
「大丈夫ですよ〜。ウチ近いし。心配してくれてありがとうございます。お疲れ様です。」
店長に背中を向けて歩き出した瞬間
腕を捕まれた。
「危ないから、送らせて?な?」
そんな優しい目で言われたら断れないよ。店長はなんだか年の離れたお兄ちゃんみたい。
「お願いします…。」
大樹は今バイクしか乗らないから車の助手席なんて久しぶり。
タバコを吸いながら車を運転する店長を見て、大人なんだなぁって思った。確か28歳くらい?
…大人だよねそりゃ。
「緊張するから、あんまりこっち見ないでくれる…?」
店長の言葉で我に帰った。