《続》手にしたあとは?
少しの沈黙がどんどん空気を張り詰める…―。
耐えきれなくて、私は口を開く。
「大…樹…?心配したけど、無事ならいいんだょ?」
私は声のトーンを上げるけど…笑顔が引きつる。
『ごめん。今、地元に居る。』
地元…?なんで…?
『元カノの…さ、昨日の夜に子供の父親が現れて…いろいろ揉めてんだ。』
また…元カノさん?
まだ…大樹の中にはその人が居るの…?
その後の大樹の話で覚えてるのは、ほんの…少し。
音信不通だった子供の父親が突然現れて、今更子供を引き取るなんて言い出した。
両親が旅行中らしく、一人で気が動転した彼女は大樹を頼った。
大樹はすぐに駆け付けた。
私を迎えに来るなんて約束、最初からなかったみたいに…―。
「そっか。大変だったね。」
『ごめん華乃…っ。』
「私は平気だよ…。」
『今朝、アイツの両親帰って来たから後は任せて俺は帰るから。』
「うん。」
「家で待ってて…?」
「うん。」