《続》手にしたあとは?
ピンポーン―
いつもの様に自分の家のインターホンをわざと鳴らす。
いつもの様に抱きしめたくなる笑顔で、華乃が迎えてくれる事を期待して…。
でも、迎え入れてくれた華乃に"いつも"の笑顔はなかった。
俺に向けられたのは、初対面の人にだってたまにしか見せない、少し不自然な微笑み。
「迎えに行く約束ごめんな…。怒ってるよな?」
「怒ってないよ。もう大丈夫なの?」
「ああ。それもごめん。もう連絡取らないなんて言っておいて…本当に…っ
「仕方ないよ。心配だったんだよね?大樹はやさしいもん。」
華乃がいつもの可愛らしい微笑みを向けてくれた事に安心した。
「ありがとな。でももう大丈夫なはずだから…連絡取るのは今回が最後にするよ。本当に。」
少し悲しそうにうつ向いた華乃が、ゆっくりと口を開いた。
「いいの。」