《続》手にしたあとは?
◇8◇
俺がどんなに落ち込んだって、朝は勝手にやってきて…
バイトの時間は勝手にやってくる…
「はぁっ…」
俺はおっきなため息をついた。
重い体を無理矢理動かしてバイト先に向かう。
途中で華乃に電話を掛けてみるけど…やっぱり出ない。
メールを送ってみる。
『本当にごめん。会って話がしたい。』
返って来るはずもない。
バイトは散々だった。オーダーミスするし、グラスを割るし…
上がりの時間までだいぶあったのに、帰らせられた。
休憩室でうなだれてたら、店長が入ってきた。
「おう。大樹、今日はどうした?お前らしくもない。」
俺はバーテンダーのバイトをしてて、店長は弘人さん、26歳。
高卒で海外で修行をして、この歳で店を開いた。
俺が尊敬する人だ。
人生の先輩でもある。
「話聞いてもらっていいですか…?」