《続》手にしたあとは?
◆9◆
「それがお前の答えか。」
店長は開店直前の店内で氷を割りながら俺の話を聞いてくれた。
俺はテーブルを拭く手を止めた。
「考えを変えたんです。例え二度と華乃をこの腕に抱けなくても、華乃の笑顔を取り戻すタメならなんでもするって。」
「はなチャンが他の誰かのものになっても?」
「…っ。」
「当たり前だ。いくらでもその可能性はある。」
俺の頭に色んなヤツの顔がが浮かんだ。
「見守ります…っ!」
俺は布巾をぎゅっとにぎった。
「テーブル。丁寧に拭けよ?」
「はい!」
店長はやっぱり甘えさせてくれない。
いつも以上にハードな仕事を終えて家に帰る。
ヴーヴー
普段気づかない携帯のバイブが、寂しい一人暮らしの部屋に鳴り響く。メールだ。
華乃から。
『ありがとう。ごめんなさい。』
たった二言のメール。
良かった。返信すらなかったら、俺はもう立ち直れない。
大丈夫。華乃を見守る。