《続》手にしたあとは?
俺達は荷物を置いてすぐに浜辺へ向かった。
みんな海ではしゃいでる。
なのに全く素直に楽しめない俺がいて、一人日陰で振り払われた左手を見つめた。
その視線を海に戻すと、水着で肌を露出しまくった華乃がいて、周りのメンバーに嫉妬する。
要が華乃をお姫様だっこで海に投げ入れる。
触んなっ―
なんて言えない自分にまた腹が立つ。
すると彩が浮き輪を取りに来た。
「彩!」
「なんですか?」
「さっきの話…なんだよ?俺はただ、元カノに会いに行っただけだぞ?」
「ふーん。その元カノさんから華乃に電話があったのは何でですかね。」
「は!?何だそれ!知らねぇよ!」
彩は冷たい目で俺を見た。
「今更しらばっくれても…」
驚きを隠せない俺を見て彩の表情が変わった。
「え…本当に知らないんですか…?」
「だから何だよ?アイツ華乃に何言ったんだよ?」
彩は、口元に片手を当てて声を落とした。
「………"大樹を返して"って………。」