《続》手にしたあとは?
さっきまでめまぐるしく回転して思い出に浸ってた私の思考回路は、一気に止まってしまった。
同時に、入口から一歩入った所から動けなくなった。
一番会いたくなくて、でも一番会いたかったかもしれない。
だって私の視界には、一面に広がる青、そして大樹…。
大樹は入口にいる私に背を向けてただ黙って水槽の中を見つめてた。
私も…黙って見つめた。大樹の後ろ姿を…。
初めて出会った時の桜満開の淡いピンクとは違う、静かな落ち着いた青の中…。
今の私達にはピッタリかも。
なんて思ってた。
しばらくして、やっと大樹が入り口の方へ振り返った。
伏し目がちだった大樹の瞳がゆっくり上へ動く……。
私達の視線が重なった時、目を反らせなかった私はなんとか両方の口角を持ち上げた。
「え……、華乃…?」
今度は大樹が驚いた。