《続》手にしたあとは?
俺は水族館の入口まで走った。
そして、手にでっかい荷物を持ってすぐに華乃のいるイルカの水槽に戻った。
「これ…、お土産に持って帰って。」
「…え?…どうして…?」
華乃があまりにも意外な顔をしたから、俺はすぐに冷静さを取り戻した。
女子大生にぬいぐるみ…。
「ご、ごめん。いきなり何だって話だな。前に華乃と水族館行こうって言ってただろ?連れてってやれなかった…お詫び…のつもり…なんだけど。」
焦ってフォローしてみた。結局未練がましい俺…。
「……」
華乃が黙り込んだ。そこでやっと気付いた。浮かれてんのは俺だけだ。
「いらなかったら…捨てていいから…。」
俺は弱々しく視線を落とした。
「ううん、イルカ好き。このぬいぐるみずっと欲しかったの。ありがとう…嬉しい。」
華乃は本当に愛しそうに俺があげたイルカのぬいぐるみを抱き締めた。
こんなに喜んでくれるのはまた意外だったけど、そんな華乃こそ無性に愛しくて…
抱き締めたくなった。