《続》手にしたあとは?
『久しぶり…元気?』
「ああ…。」
『あれから電話しても出てくれないし…。…ねえ…あの人、子ども…連れてっちゃったの…。』
電話の相手は元カノだった。
元カノは話し合いでなんとかしようと思ったらしいけど、父親のソイツは結局、力づくて子どもを連れてったらしい。
『もう…どうしたらいいの…。大樹助けて…。』
俺は考えた。
もう、昔の彼女に未練も何もない。
同情はお互いの為に良い方に向かわない。
「…あのさ…俺、お前の気持ち分かってあげれないから…。ごめん。」
実際、まだこんな俺を頼ってくるって事は、こいつはいつまでたっても本当に大切な人を探し当てる事が出来ないと思った。
『大樹…私…。』
それに、確認しなくちゃならない事がある。
「お前、華乃に何言った?」
『あ…。』
「おいっ。」
『ご…めんなさ…だって、やっぱり私は大樹がいないと…大樹ぢゃなきゃだめなの!』
ハァッ―
俺はため息の様な深呼吸をした。
「望み通り華乃とは別れた。」
「本当に?」
「でも俺は…もうお前に何もしてやれない。今まで中途半端にやさしくして…でも、今はもう…俺を頼らないでくれ。ごめん。」