《続》手にしたあとは?
◆13◆
待ったなんてほどの時間もなく、俺の息が荒い内に華乃はやってきた。
「大樹!?どうしたの?」
顔色はもう良さそうだ。
「華乃…お前さ…」
「坂下さん!」
俺が言葉を発したと同時に店長が華乃を呼び止めた。
「これこの前家に忘れてったでしょ?海が見つけたんだ。」
華乃の時計だった。
「あ!すいません…海チャンにお礼言っといて下さい。」
俺は二人の会話から華乃が娘さんの"ウミチャン"を知ってる事は分かった。
「あ、こんばんは。」
店長が笑顔で話かけてくる。
「どうも。」
「僕もう戻るね。坂下さんお疲れ様。」
元彼が彼女に会いに来てるのに、反応なし?
「ちょっと待って下さい!…」
店長は立ち止まって、何?と首を傾げ俺を見た。
「こんな事俺が言う筋合いないですけど…あんた華乃の事、愛してますか?」
「え?ちょっと大樹何言ってるの?!」
華乃が真っ赤な顔で俺に駆け寄ってくる。