《続》手にしたあとは?



「うぅ…大樹…ヒック…ごめんなさい。私最低だった…。」



「いや、俺の方が最低な男だよ…」



元カノは涙を拭いて真っ赤な目で言った。


「大樹は…やさしすぎるだけ…。私、頑張るよ。あのコを迎えに行く!そして心から大切にしたい人見つける!…ただ…大樹の事は、本当に好きだったのよ?それだけは分かってね。」




「ああ。ありがとう。俺もお前の事本気だったよ。」




俺は手を差し出した。彼女はその手を握って笑ってくれた。彼女を立たせると、くるっと店長の方を見た。


「見ず知らずの方にご迷惑かけてすいませんでした!」


ペコッと頭を下げ、俺にはさよならと言って去ろうとした。



「ねえ君、良かったらうちの店でコーヒー飲んで行きなよ。落ち着くからきっと。」


満面の笑みで店長が言う。


俺はなんとも言えない気持ちで店長に目をやると、店長は腕を組んで仁王立ちした。



「誤解があるみたいだから言っておくけど、僕は坂下さんと付き合ってないよ?彼女に彼氏が居るなんて話も知らない。」



「え…?」




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