《続》手にしたあとは?
「僕の奥さんはもう亡くなってるけど、愛しているのは彼女だけ。」
俺は赤面した。
「すいません!勘違いして…俺ひどい事…」
「いいんだよ。気にしないで?…僕は君が羨ましい。」
店長は目を細めて本当に羨ましそうに俺を見た。
「僕の愛する人にはもう、愛してるって伝える事が出来ないからね。君の愛する人は生きてるだろう?早く追いかけて、気持ちを伝えなよ。ほら!」
この人は、なんて綺麗な瞳をしてるんだろう。
「ありがとうございます!」
俺は深く頭を下げた。
そして走った。
なんか今日…走ってばっかだな俺。
華乃…
何て伝えよう?
もう今さら遅いかもしれない。
俺なんか嫌われてるだろうな。
でも見守るなんて無理だった。
なんで諦めたんだ俺。
どうして身を引いたりしたんだ?
こんなに華乃が好きなのに…