《続》手にしたあとは?



「僕の奥さんはもう亡くなってるけど、愛しているのは彼女だけ。」



俺は赤面した。



「すいません!勘違いして…俺ひどい事…」



「いいんだよ。気にしないで?…僕は君が羨ましい。」


店長は目を細めて本当に羨ましそうに俺を見た。


「僕の愛する人にはもう、愛してるって伝える事が出来ないからね。君の愛する人は生きてるだろう?早く追いかけて、気持ちを伝えなよ。ほら!」




この人は、なんて綺麗な瞳をしてるんだろう。



「ありがとうございます!」




俺は深く頭を下げた。


そして走った。






なんか今日…走ってばっかだな俺。






華乃…




何て伝えよう?





もう今さら遅いかもしれない。



俺なんか嫌われてるだろうな。




でも見守るなんて無理だった。




なんで諦めたんだ俺。




どうして身を引いたりしたんだ?




こんなに華乃が好きなのに…







< 95 / 104 >

この作品をシェア

pagetop