《続》手にしたあとは?
◇14◇
近くの交差点で信号待ちしてる華乃が見えた。
「華乃!!」
もう信号は青になってしまうから、慌てて俺は華乃の腕を掴んだ。
「俺、お前ぢゃなきゃ…ダメだっ…お前が笑って…」
息が切れて、上手く言葉にならない。すると華乃が口を開いた。
「あの人は…?」
「え?あ…お前の店でコーヒーを…。」
「そっか。私ひどい事言っちゃったかな…」
なんだろう…俺の気持ち全然伝わってない?あいつはもう平気だけど、上手く説明出来ない。
「華乃、聞いて?俺お前が…」
「私なら大丈夫!大樹が居なくても大丈夫…だから…あの人のそばに居てあげて?さよなら…」
青信号が、チカチカ点滅する…俺の手をすり抜けて華乃が横断歩道を走って渡ってしまう…
華乃が渡り切った所で、信号は赤に変わり…たくさんの車が走り始めた。
騒音で、もう俺の声は華乃には届かない。
いつもこうだ。俺の告白はいつも何かに遮られる。
こういう運命なのかもしれない…