《続》手にしたあとは?
全力で走り回った上に全力で叫んだせいで力をなくした俺は、その衝撃で後ろに倒れこんだ。
と同時に何かを抱き止めた。
肩を小刻に震わせて、力いっぱい俺にしがみつく華乃を…。
「え?華乃?」
少しパニックな俺の胸に、華乃がおでこをコツンとぶつける。
「もぅっ!恥ずかしいよっ…あんな大声で言われたら嫌でも聞こえちゃう!」
少し涙声の華乃に俺は焦る。
「ごめん!なんか必死で…。」
気が付くと、あんなにうるさかった車の騒音が嘘みたいに交差点は静まり返ってる。
「いつの間に…。」
「あんな大声出すなんて大樹のキャラぢゃない…」
俺を見上げる真っ赤な顔の華乃。潤んだ瞳。可愛いすぎる。
「うん…ごめん。」
「横断歩道渡ってから、あの人から電話があったの。」
「うん。」
「電話の事は嘘だって。大樹とは何もないって…ごめんなさいって。…言ってくれればいいのに…!」
「うん。ごめん。」
「大樹さっきからごめんばっかり!」