籠の鳥
「ねぇ、拓真。
奥さんとはどうなの?
もう会えた?」
食後のコーヒーを飲みながら話していると
アヤメが心配そうに聞いてきた
「何も変わりない。」
拓真は表情を変えずコーヒー飲んでいる
「変わりないってまだ会ってないのか?
そんなの結婚した意味ないだろ!」
「別に、俺は妻が欲しくて結婚したわけじゃない。」
そう言った拓真の瞳は光をなくし
急に冷たくなった
「どんな理由であれ夫婦になったんだ!!
奥さんに会うだけでもしろよ!!」
伏せていた視線をパッと保久に向け
立ち上がり
「仕事が残ってるから帰る」と言って上着と鞄を持ち玄関に向かっていった