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2月生まれの私は考えるところがたくさんあった。
学資保険の満期は18歳。
実家の貯蓄を考えても、自分お貯金を考えても足りる額ではないお金の問題に直面している。
入学金が80万くらい。年間の学費が100万程度。
地方のお店屋さんの家に出る金額かというと心細い。

進学先は東京。の、外れ。
学力的にも誇れるものではない。それはわかっていたこと。
将来のことよりも目先のお金だったのだ。

「ちゃんとご飯食べるんよ。」
「もーわかったって。ちゃんとするし安心して行きや。」
ホームのベルは鳴り響く。
ここは東京駅の新幹線乗り場。
今日私は進学のために上京してきて送ってくれた母親を送り返すところだ。
東京には夢がある。
勉強をして、偉くなって、故郷に錦を飾るのだ。
まぁそこまではいかなくとも。あんな田舎には飽き飽きだし何かきっと未来が開けるはず。

人通りの多い駅を歌いたい気分で下宿先に戻る。
東京から40分程度。家賃は1kで5万円。
仕送りは5万円。
大学までは10分程度。
バラ色の生活が始まるのだ。
家から一番近い商店街で大好きなお菓子を買って
目に付いた花屋で一輪の薔薇を買った。
薔薇を飾る花瓶なんて持ってないから商店街の100円均一で花瓶を買って、
私の新生活は順風満帆そのもの。
知り合いのいない町、それもなんだか素敵な未来にしか見えないの。
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