世界の終りで愛を歌う

「ねえ。ミノル君。木曜日の続き今書いてよ!」


「何で今だよ。面倒だからパス」


日曜日に教会で会った二人。


詠美は声を高くして実に催促した。

彼女は実が教会をサボるのも密かに苛立っていたが、

今回は来たので少し機嫌がよい。

実が頑張っていない時は、

「あ?」と教会に通う者ではないみたいな口を聞いたものだが。



「だって木曜日にした約束を守ってくれなかったじゃないですか!」


彼女は段々腹が立って来た。

でも教会の教えで怒るのは罪とされているので、


怒ってはダメよ私!

と自分の心の中で自分の理性に話しかけて耐える詠美だった。


「仕方ないな……今から打つから少し待ってて」


と渋々携帯電話を開く実。

その表情はクールを装っているつもりだが、

少し表情が和んでいる。

本人は気がついていないが。
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