世界の終りで愛を歌う
一人暮らしの日々は刺激に満ちていた。
食事は仕送を他に回す為に、
自炊をしてけちった。
たまに家に呼ばれたので、
札幌の実家に向かった。
両親は東京の大学に私が落ちたので、
北海道にわざわざ引っ越したのだ。
それに、私が北海道大学に受かり、
別の大学とパイプが出来た為、
北海道にも病院を作ったのだ。
もちろん、父親は北大との繋がりを作り上げ、
父親の病院には私の先輩が入った。
父の病院は、給料と勤務時間等の環境が良かったらしい。
医療の診療報酬が決まっている為、
病院によって差は余りない筈だが。
要するに、一人一人の腕の問題らしい。
先輩の話ではゴッドハンドと呼ばれる医師が三人もいたらしい。
だが、私はゴッドハンドには絶対になれない。
何故なら私は内科志望。
外科は無理だ。血を見たり、
内蔵を見るとこちらまで痛くなるのだから。
まぁ、気絶しないだけましだが。
私は向いていない職種を選んでしまった。
親の七光りだと言われても仕方ない。
何故なら、才能が無いのだから。
医者になる前から絶望的だった。
だから、私は来年東大に受かる事を夢見ていた。
東大文Ⅰ。法学部に。