世界の終りで愛を歌う

 勉強ずけの日々は退屈だった。

私は息抜きに大河ドラマを見る事にしていた。

それが唯一の楽しみ。
現在は女性が主役だったが、

衛星放送で伊達政宗を放映している。

その二時間だけが私の遊びの時間だった。

私は出来が悪い。だから、

勉強時間を増やすしかなかった。

恋愛も無しだ。政略結婚が待ち遠しいと思ったが、

一切それは無く、結局自力で嫁を探す事になる。


その嫁とは、先輩の妹だ。

名前は喜美枝。花が咲いたように笑う女性で、


私は出会った瞬間から恋に落ちた。

それから闘牛のように彼女をデートに誘い、
口下手ながら、笑顔のみで会話無しで頑張ってみた。

後から知った話では、彼女は異様にメス捌きが上手らしい。

私はとんでも人と付き合ってしまった。

だが、それを知った時には後の祭りだった。

祭りが終わってからたこ焼きを食べようとして、

出店速攻で片付けられてしまい無理となる。

彼女を怒らせたら人生の終りとなるだろう。

こうして、内科医の私に、

外科医の嫁が出来た。
とりあえず、怖い。

まだ怒った彼女は見ていないが。
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