世界の終りで愛を歌う

 平穏とは言えないが、刺激に満ちた日々が続いた。

そして、バトルロアイアルの第2幕。


「走りなさい。もっと早く! その腹の脂肪を吸引されたくなければね!」


そう。今回はマラソンバトルだ。


外ならまだ良いが、

走っても走っても、

一歩も進まない嫌な器具を使っている。

これなら昼でも夜でも走れるとの事だ。


「予防医学の観点から言えば、最高の脂肪燃焼方法は歩く事だ。


走れば、癌の元の活性酸素が出て最終的に癌になり、

君の世話になる事になるぞ!」


「御託はいいの! そうなれば、私が見事に捌いてあげるわ」


とメス捌きを披露する彼女。

その手には何故か包丁が握られている。


「君は走らないのか?」


私は竹刀ならまだしも、

包丁を手に持つ鬼コーチに同じ苦痛を味わって欲しかったのだ。


「この私の体の何処に走る必要が? しかも走れば癌の元が出るんでしょ? あ……歩いてよし。そのかわり、120分ね。最低10キロ は歩きなさいよ。割っていたらサボリと見なし、捌くわよ」



と恐ろしい形相でそう言うと彼女はリビングに消えていった。


第2ラウンドも私の敗北だった。
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