世界の終りで愛を歌う
私が病気を先制攻撃で撃退し、
強い病気を彼女が治す。
これが私達の日々。願わくば、
健康を害する前から私の前に現れてほしい。
悲しい事に患者は体を病んでからで無ければ来ない。
お年よりも、持病を持つ前に来てほしい。
80歳で無病が理想だが、
そんな人間は100人に一人もいない計算だった。
1000人に一人の割合である。
これは非常に興味深い。
この割合は、天才が生まれる割合である。
2万人の小さな市にも、
天才は20人もいる計算になる。
天才とは珍しい人種ではないのだ。
自分の生まれ持った才能を開花させて、
それを世の中の為に生かし、
それを維持するのが大変なだけだ。
「うーん……あなた……ごめんね。浮気しないでね」
論文の内容を考えて、
駄作しか出ない私の横で喜美枝が寝言を言った。
「浮気はしない。君を愛しているから。これからもよろしく頼むぞ。相棒」
私はそう言って彼女の髪を優しく撫でて、
眠りについた。第3ラウンドは私の勝ちかも知れない。
そもそも、二人でバトルロアイアルも何もないのだが。
今回は戦ってすらない。
心配なのは、ボクシングはダイエットに良いと、
スパーリングを申し込まれる事だ。
そうなれば、私はボロボロでボコボコにされてマットにキスをするはめになるのは目に見えていた。