世界の終りで愛を歌う
第2章 希望の男と幸福の女
男は希望を見い出し、
その希望を幸福に変える。
その二人の相性は非常に良い。
だが、その女が不幸になるなら、
男が持たらした希望は不幸に変わる。
人間は地上に幸福になる為に生まれて来た。
だが、私の望みはその対局となる言葉である。
願わくば、男が絶望の男となり、
女の幸福になる力を弱めますように。
だが、私は祈る者を持たない。
神の対局にある存在で私に敵う悪魔は存在しないのだから。
「ねえ。また更新サボりましたね! 今日こそ更新して下さいね。じゃあ、また教会で!」
「ちょ……待てよ! あーあ……切れてら。仕方ないな」
詠美から電話が来たらしい。
二人が神の本と私の本を手にして一ヶ月。
未だに平和な時が流れていた。
男はまだ、人々に希望を与える男のままだ。
男は、長方形の物体を広げ、
文字を紡ぎ始めた。
絶望から希望を見出す為に。