世界の終りで愛を歌う
辛い現実を忘れる為に私はデートとやらに出かけた。
見合い結婚である私達には初めてのデートと言えた。
ハネムーンは余りにも直接的だったから。
すぐにその行為を行いそして眠りについた。
これではデートとは呼べない。
妻の作ったデートプランは地獄だった。
先ずは彼女の闘牛の様な荒々しい運転だ。
彼女の愛車である闘牛をエンブレムにした車は、赤い車に向けて突進して行く。
すると向こうもF1カーの様なエキゾーストを響かせながら、物凄い加速をしていった。
そこから一般車両を縫うように進んで行った。
遂には私達の車は燃料切れ。
「チ……マニアックな車の癖によー!」
よりマニアックな車に乗っている喜美枝に言われたくないだろうなと私は思った。
妻はこの日記の中の……いや、
私の人生の台風の目であるように思えた。
そして、赤い高級ブランドスポーツカーが前方に止まり、ハザードをつけて運転手が車から降りて来た。
私と違い、その運転手は美形であった。