アルバイト執事にご用心
結局うまくまるめこまれたようにクレアはセイと初めてのデートをすることになってしまった。


「年上の男の人とデートだなんて、何を着て行ったらいいのかしら?
どこに行くのかくらいきいておけばよかったわ。」


結局、普通のおでかけ着を着てクレアはセイと出かけていった。


「あの・・・いったいどこへ行くの?」


「ん?定番のデートだけど・・・。とりあえず街で人気爆発っていわれてるミュージカルを見て、おいしいもの食べにいって、景色のいいとこにいって・・・あとはまぁまた考えることにする。」


「あの主人公がお嬢様で泥棒の彼氏と冒険するってお話だったかしら?
だけど、あれってチケットがとりにくくなってるって学校できいたわ。」


「そうだね、俺もまさか手に入るとは思ってなかったけど、会社で行けなくなった人がいて偶然譲ってもらえたからね。
ちゃんと代金は支払ったよ。」


「取引があったわけですね。」


「仕事じゃないから、そんなごたいそうなもんじゃないけどね。
相手は本来戻っても来ないお金がキャンセル料も払わずに手に入ったんだからいいだろう?」


「そう・・・だけど、だったわ私もチケット代を払わないと。」


「それはナシだよ。
デートに誘ったのは俺の方で、君は学生だからおごられていればいい。」


「そんなぁ。」


「いいんだって。おごられるのがあたりまでだと思ってる友達だっているだろう?」


「私はそういうのが嫌だから。」


「お堅いんだな。」


「そういう問題じゃなくて、自分にとってかかる経費は自分で何とかしないと。
それにあんまり出してもらうと、よくない下心がある気がして。」



「ぷっ!あはははは。
そ、そりゃ、俺だって健全な男だから絶対ないとは言い難いけど、初めてのデートでチケット代を振りかざすようなマネなんかするわけないって。」


「そ、そうなんですか。」



「ほんとにもう、クレアはかわいいね。
これからもたくさん誘わないとダメだね。
したたかさが育たないから。」


「なんかすごくバカにしてます?」


「いいや。おごってもらえて当たり前と思ってる女より、とても素敵だよ。」


「やっぱりバカにしてる!」


「あはは。さ、劇場が見えたし、入ろうか。
バカにはしてないからな。君に社会勉強をさせてあげてると思ってるよ。」


「社会勉強ですか・・・。ふむ。」
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