アルバイト執事にご用心
疲れだけがたまった感じでクレアは自室のベッドに倒れこんだ。


「お店を紹介したのは私なのに、あぶれちゃった。ひどいなぁ。」



コンコン


「はい。」


「おい、夕飯できたぞ。食べに来いよ。」



「ちょ、ちょっと・・・ゼイル、どうしてあなたの方がこの家で自分のしゃべり方してるの?」



「落ち着くからに決まってるだろ。
さ、飯食ったら風呂入ってさっさと明日の準備して寝ろ。」



「ちょ・・・ふう・・・どっちが召使いなのかわからないじゃないの。
だけど、私だけあぶれちゃって自宅帰りなんて格好着かないなぁ。」




お風呂をすませて、翌日の学校の準備をしているとコンパに参加していた友達のキャシーから電話があった。


「もしもし、ねえ、クレアはあのサブマスターさんとどこまでいったの?」


「えっ?どこまでって家に帰ってきていつもと同じだけど・・・。」



「うっそぉ~~しんじらんない!
クレアを誘いたい彼は3人はいたのよ。
それをあのサブマスターはすごい顔でにらんで言ってたわ。

自分はクレア様のお父様から頼まれている!って。
よからぬ虫はとっとと帰れとか宣言しちゃって、クレアと友達になりたかった人たちはみんな超不機嫌だったのよ。

私たちでフォローしておいたけど、クレアってあのサブマスターさんとつきあってるんじゃなかったの?」



「そんなわけないわ。お父様がアルバイトで執事として勝手に彼を雇っただけよ。
なのに、あいつそんな勝手なことをしてたなんて・・・。
私にはコンパにあぶれてるってバカにしてふだんと何も変わらずよ。」



「へぇ・・・もしかしてもしかすると・・・彼ってクレアのこと。ふふっ」



「絶対それはないと思うから!
私てっきり、自分だけあぶれたものだとばかり思っていたのに。」



「バカねぇ。クレアが私たちの中であぶれるわけないでしょう?
私たちが引き立て役かと思えるときはあったって、その逆はないわよ。
あ、でも私たちはクレアのことが好きよ。

だってあなたはそういうのを自慢する人じゃないもの。
たまたま他人よりきれいに生まれ育ったことに文句を言うほど、私たちだってバカじゃないわ。」



「ありがと、キャシー。
電話をかけてきてくれてほんとによかったわ。
それと、合コンでご迷惑をかけた皆さんに私が本当に申し訳ないって伝えて。」



「ええ、伝えとくわ。
それと・・・ふふっ、おたくのアルバイト執事さんとの仲をまたくわしくきかせてね。」



「えっ!?ちょっとキャシー・・・キャシ・・・てば。」

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