魁の沙羅双樹
序章
「……ずっと一緒にいたい」
泣きそうに呟いた
たったひとつの、小さな小さな願望。
風と共に朽ちていくように叶わない思いを紡いでも
あなたは私から目を離さなかった。
「………離さないつもりだよ」
誠の心なんて、人斬りの信念なんて、捨ててしまえばいい。
その代わり二人で追いかけよう。
終わっていく物の末路を辿って、それでも歩みを止めないで、いつまでも変わらない物を探そう。
貴方の傍にいられるのなら
─────私は罪を犯しましょう。
魁の沙羅双樹
─さきがけのさらそうじゅ─