記憶 ―黄昏の蝶―
「…何かヒントは無いか?星が近付いて、どうなるのか…」
4階の資料室。
手当たり次第に青い絨毯の上に資料を引っくり返した。
ガタガタと大きな音をたてていると、ジークが顔を出した。
「…なに…やってんだ、リュウ?おい…」
「――調べてんだよ!」
「……調べてるって表現か?この有り様…」
「うるせぇな!」
普段の俺は資料室なんかに勿論用はないし、この場に俺が居る事自体が不自然だ。
調べ様にも、棚にある大量の資料の並び順すら分かりゃしないのだ。
だから、この有り様だ。
「…何を調べようとしてる?手伝うよ…。こりゃあ片付ける方が大変だろ。どうせお前は片付けやしないんだから…」
そう言って、ジークは絨毯に散乱する資料を手当たり次第に拾い上げた。
「…何を調べてるって言っても…分からねぇんだよ!あの星について全部だよ!」
「…はぁ?おい…」
「とりあえず大昔?あ!カロリスが出来た原因『神の怒り』については?どっかにあるか?」
「そんな大体で?お前は一体何がしたいんだよ…」
ジークの呆れた口調の言葉には耳を貸さなかった。
ジークも協会の幹部。
どうせ俺の不安を話しても無駄だと思った。