記憶 ―黄昏の蝶―
家に入ると、
「なぁ、金首飾りは?」
「見して、見して?」
とアキラは子供の様に興味を示した。
彼は1人でこの家に暮らしているのか、家の中はベッド1つとテーブルがあるだけの簡単な造りだった。
「…噂ばかりが大袈裟で、そんなに大層な物ではないんですが…」
顔を近付け、俺の首飾りを一通り触り終えると、彼は悪戯っ子の様に幼い顔をして笑った。
「…あはは!通常モードで喋ってよ!俺っち、カイトから色々聞いてるし。な?『二重人格』のリュウちゃん。」
「……二重…人格って…」
おい、
――ちょっと、待て。
カイトが小さく、
「ぁ…」と声を漏らした。
「まぁ…街じゃあ、仕事柄しょーがねぇんだろうけど。俺には関係ねぇんだし。カイトから、リュウちゃんは俺と同じ位に口が悪いって聞いてるよ?」
………。
『例の』とは、そういう事だったのか…、と俺はカイトを睨んだ。
では、遠慮なく…
「――カイト、てめぇ…人様にどうゆう説明してくれてんだよ…。街の住民だったら偉い騒ぎじゃねぇか…」
「――あぁっ、リュウちゃん!ごめん。話の流れ上ってゆうか!街の住民じゃないし良いかなぁ~みたいな?」